迷夢 迷霧

言うてみないや

そら さあ 嘘 

そう そう 今朝

深く厚い空

よお見ない

おらんだろうが みな だあれも歩いとらん

嘘だで 無数の音

私だけが 歩いとったと思った 道

壊れた嘘が輝いて

カロリナポプラの綿毛が舞っとったことも気づかんと

あんたらあはおっただか

影を霧に包まれて

迷夢 迷霧

夢をなんと名付けるだ?

晴れたところで

ちがうぎゃあに迷うだけだ

朝が来ても

呼び方がなければ呼びようもない

与えられるまで 呼び合わんつもりなんか

ヤマモモ あじさい いそひよどり ネムの木 雨

心などどうでもええわ 悲しいて 耐えられんが

もう悲しいこともどうでもええで

思え思うなと言うてくるな

 

迷夢 

迷霧 

名付けようもない

夢をなんと名付けるだ

 

 

 

 

 

迷夢、迷霧。馬鹿げた想いを抱え見通しつかぬほど霧がかった森をうろつく、そんな者の姿。

絵の中の人物は疑うような視線で森や野原に佇む。
木々の葉が風に揺れる音が心地よいので、いっそ行き先を忘れても良いと考える。
異なる者の姿。あなたとも私とも異なる。

世界がどのように在り、押し寄せる謎かけにどのように答えるのか、見つめるのか、私自身がどのように在るということなのか、私が私に謎かけをする、そのようなことを詩に書いてきた。
絵を描くという行為を、詩によっても探ろうとしてきた。

絵の中に居る人物は特定の者ではないが肖像画の形に似せた。
埋没するような感覚で見たり、対峙して見つめ合うこともできるし
絵画の中に在る視線を盗み見て楽しむこともできる。
肖像画は、晒されていると同時に解き明かされることのない秘密だと思う。
謎かけには謎かけで答えたいと望む。

 

 

 

 

 

井上昇治さんにレビューを書いていただきました。 OutermostNAGOYA 名古屋xアート 舞台 映像...

 

中日新聞 7月31日(金)「夢題の無」展でのインタビューをもとに記事を書いていていただきました。