「おばけの絵は絵、絵のおばけは絵 /

a painting of an obake is a painting , an obake of a painting is a painting.

 

OutermostNAGOYA 井上昇治さんに展覧会について文章を書いていただきました。読んでいただけるとうれしいです。

https://www.outermosterm.com/yamada-nanako2021/

 

「おばけの絵 1」 45.5x38cm 油彩 キャンバス 2021

いつのことか

2つのおばけが、道で出会いました

おばけたちは「おや」と声をかけあいました

すぐに、お互いおばけ同士だとわかりました

なぜなら、2つのおばけとも、顔が絵だったのです

「あなたも絵を描いてもらったのですか?」

「そうとすると、あなたもまた?」

 

それより少し前のこと

おばけたちはそれぞれ、こんな募集を漂わせたのでした

「かわいいおばけをかわいく描いてくれる絵描きを探しています」

そのメッセージをひろった絵描きが、おばけたちの顔を描きました

絵描きはとても満足のいくように描いてやりました

ひとつの顔はまるで仙人の住む岩のよう

ひとつの顔はまるでメジロ飛び交う花木のよう

 

絵描きはとても満足のいくように何枚も描いてやりました

ある絵は木立に消える足音の主

ある絵は儚い煙の軌跡、キンセンカの葉の匂い

 

 

 

 --------------------------

絵画はイメージを匿う

不変の 壊れ 漁られ踏みしだかれる 内なる拒絶 ひらかれた孤独

おばけとして絵に託した

絵画をおばけとして表した この作業は続いている