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会場風景の写真はNO-MAのホームページから引用しました。
「ココロの景色」展のためのステートメント
最愛の恋人と、酒を飲みながらブラックミュージックを聴く
あなたが知っているのはツワブキの花と湖畔の道
T病院のランチルームからは海しか見えない
彼から遠く離れて歩いた岬の 浜と空と椰子の木は、海になるために海と繋がっている
アメリカ帰りでもフランス帰りでもない、病院帰りの私はショッピングモールでガラスの海獣を二体買った
「あの朝、あの人魚を殺したのは誰?」
午後八時の来客は人間性に握手を求めたけれど彼女の手はまだ生きてた
ブックカバーに包まれた本のなかで皆の代わりにセプティマスが答える
柘榴のようなホクロを見つめてごらん 私がつけているのは柘榴石のようなブレスレット
あなたの部屋の窓からは街路樹の葉の揺れる音が聞こえる
愛猫が寝床に入ってくるときの合図 想うと涙がこぼれることで似ている
そして部屋にはあなたの生活がある
羽根が生えたもの、あるいはそれと同質のものは、世界の支配下にある そんなことを考える
水の景色の底には常若の国がある
喜びも悲しみも富も貧しさもない そこからの使者は地上に幸福の到来を告げる
水の豊かな景色や夜や夕焼けで、羽根が生えたものを包み込むことを絵のなかで試みることは出来る
また、窓の向こうの窓に私の記憶を見ることが出来る
山田七菜子