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海は心が漂うには広すぎる
想いを持て余しながら浜をぶらつく

波に織り込まれた荒唐無稽な伝説に目を凝らす
伝説は瞬く間に砕けてまた隆起する

胸のうちにイメージが焼き付いてできた傷痕を手がかりにして絵を描いていたら楽しくなった

ある日
海の絵を描きながら
私が海岸にいるところを

まるで私自身が側から見ていたような気になって
海を見ている人をその絵のなかに描きたくなった





REAR34 金沢21世紀美術館学芸員の野中祐美子さんに文章を書いていただきました。

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